私の蔵書の中にビジュアルブックス編集委員会編「近代の歴史遺産をたずねて」
日新信用金庫発行(2006)がある。
この本のPage92-93に表題の建物が写真とともに紹介されています。
上の写真は上述の本の表紙
そこで2020年10月13日に現地を訪問し写真を撮ってきましたのでブログ記事としました。
現在、表題のように関西電力から分社化し、事業継承した関西電力配電株式会社の
神戸電力所というのが建物の所有者である。(正式には兵庫支社 神戸電力本部 神戸電力所)
所在地は神戸市長田区南駒栄町1-156である。連絡先は078-651-9688
上の写真はGoogleの地図で上記住所の場所(赤いマーク)を示した
赤い屋根が目印
上の2枚の写真はアグロガーデンの屋上駐車場から撮った関西電力湊川変電所の遠景と
同じ角度のズーム近景 撮影:2020-10-13
大正元年(1912)に建てられた建物なので100年以上風雪に耐えてきた価値のある
建物であり今後も維持管理して残してもらいたいと思っています。
上の2枚の写真は北側から観た関西電力湊川変電所
煉瓦造り、2階建てに見えるが平屋である。後に表面にモルタル加工されている。
現在は変電所の機能は無く、資材置き場と訓練所として利用されています。
今迄、紹介してきたレトロな建物は現在は大正元年(1912)9月に神戸電燈株式会社の
湊川発電所として建てられました。神戸電灯(株)は東京に次いで日本で2番目にできた
電力会社で明治21年1月26日に兵庫県知事より事業許可を受け、
神戸区栄町6丁目25番地の本社内で20kWの石炭火力発電機と汽缶の設置工事を
開始し、翌年9月10日に発電を開始し、湊川神社と相生橋で初めての点灯に成功。
当初の電灯の規模は小さく642灯にすぎなかったが明治33年(1900)には1万灯に
達した。旺盛な電灯需要に応えるため、明治30年(1897)11月、兵庫区小河通1丁目に
「兵庫火力発電所」を建設。出力は670kWを誇ったが、さらに増設工事を
実施して計1,700kWまで増強している。
「神戸電燈」では明治39年(1906)3月から従来の電燈供給に加えて、電力供給を
開始した。明治41年(1908)12月に蒸気タービンを導入した火力発電所を計画して、
脇浜町に「葺合発電所」(出力3,100kW)が竣工。
さらに大正元年(1912)9月に「湊川発電所」が竣工。出力は3,000kWであった。
この年の電灯契約数は16万灯を突破しています。
湊川発電所はのちに計6,000kWにまで増設された。
その後も増設され昭和初期には5万Kwを発電していたとみられています。
神戸電灯湊川発電所はその後、関西電力湊川変電所になっています。
神戸電灯の成長ぶりに目をつけたのは明治43年(1910)以降、市内に路面電車を
走らせていた神戸電気鉄道市街電車であった。発電・配電事業への進出を企てて
いたため紛争を恐れた服部一三知事らが調停し大正2年(1913)両社は合併、
「神戸電気」となった。その4年後市営化され神戸市電気局となった。
電力事業については、戦時体制化に伴い国家統制に入り昭和14年(1939)には
発電部門は「日本発送電」に、昭和17年(1942)配電部門は「関西配電(現関西電力)」
に移管した。