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福原西国観音霊場第11番の観音山 常福寺への訪問記 on 2022-3-24

2022年3月24日、 福原西国観音霊場第11番の観音山 常福寺を訪問しました。

当日、撮った写真を中心に紹介します。

福原西国観音霊場三十三所33所巡りのシリーズです。

常福寺の基本情報
住所:神戸市長田区大谷町3丁目11−1  TEL:078-611-4685
山号:観音山 御本尊:延命地蔵菩薩 札所本尊:聖観世音菩薩
開山:天平年代(729-749)行基菩薩 蓮華寺として創建
中興:永正9年(1512)10月に僧の真隆が再興
福原西国観音霊場第11番
摂津国四国八十八ケ所第85番霊場
御詠歌:「はるばると詣れば弥陀の常福寺 高きひくきも平等にして」

以下の説明解説は 神戸史談 第259号 「西代・常福寺のあれこれ」 Page70-78
(1986)平野 和美氏の著作からの引用である。
その他の参考文献は下記のとおりです。
 1)「ながたの歴史」長田区役所(2005)
 2)国際港都の生いたち(その7)摂津国矢部郡福原西国三十三所観音霊場(1975)
    財団法人 建設工学研究所 奥中喜代一著
 3)神戸史談 293号 Page40-47(2004)「西代村」 前田 章賀
 4)NHK趣味悠々 はじめての西国三十三所巡り 2008

 5)福原西国巡拝記 小原基弘 神戸巡礼界(1927)

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上の写真は常福寺の門である。
常福寺が元々あった場所は西代村字西である。明治43年(1910)兵庫電気軌道
(現在の山陽電鉄)の本社社屋を新築移転する際に大日前6番地が低地であったので
かさ上げの土砂が必要となり常福寺境外地(大谷山)の土砂が使用されることになり
現在の常福寺の位置(寺山といわれていた)に移転することとなった。

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上の写真は門の左側の架けてあった蓮華寺の看板です。
住職の文章で明治6年(1873)に廃寺となった蓮華寺の再興を発願されて掲げた
ものであるとのこと。また本堂に摂津国西代蓮華寺の位牌も奉納されているとのこと。

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上の2枚の写真は本堂の遠景と近景です。
昭和57年(1982)に庫狸の屋根を葺き替え工事した際に本堂が元禄年間(1688-1704)
に本堂が建立されたことまた、嘉永5年(1853)刻銘のある鬼瓦が発見された。


観音山常福寺についての歴史

天平年代(729-749) 行基菩薩により開創(蓮華寺)高野山功徳聚院の末寺
            蓮華寺は明治6年に廃寺となる 蓮華寺は尼寺であった
永正9年(1512)10月 僧の真隆が再興
元禄3年(1690)頃  西代村(本村)に厳福寺として所在 高野山西院谷功徳聚院末
            兵庫史談 第53号 元禄郷帳による
元治元年(1864) 西国三十三霊場の札所石仏が寄進建立(現在地の大谷山に)
         寄進者:小豆屋久五郎、高井嘉兵衛、柴屋武兵衛、上野屋太助、
             萬屋源助、山田屋荘兵衛ら
慶応4年(1868)頃  平等山常福寺と称す 西代村で一番大きな寺
明治16年(1883)  本堂 東西15間 南北11間 150坪 (西代村誌)
明治43年(1910)  常福寺寺山に移転 観音山常福寺に山号変更

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上の写真は大師堂

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上の写真は地蔵菩薩

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上の写真は鐘楼

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上の写真は聖観音像(銅製)

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上の写真は庫裡

 

 

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上の写真は西国三十三所霊場 第30番 竹生島 宝厳寺の石仏です。
御詠歌の「月も日も波間に浮かぶ竹生島 船に宝を積むここちして」が
彫られています。本尊:大弁財天・千手千願観世音菩薩

元治元年(1864)に山林の中に西国霊場になぞらえた観音石仏33体が安置され

福原西国観音霊場の札所本尊となっています。

西国三十三所巡りは養老2年(718)、病で仮死状態となった長谷寺の徳道上人が

夢の中で閻魔大王に出合い「世の中の悩み苦しむ人々を救うため三十三所の観音霊場

をつくり、人々に巡礼を進めなさい」と起請文と33の法印を授かったことが起源。

270年後に花山法皇によって途絶えていた観音巡礼が再興されました。

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上の写真は境内にある西代宝篋印塔です。

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上の写真は現地の説明板です。そのまま引用転記させていただきます。
「この宝篋印塔は、もともと大谷町3丁目大谷交番西側の敷地にあったものです
平成11年(1999)に、同地にマンションが建設されるに伴ない、常福寺に
移設されました。宝篋印塔の各部位は揃っていますが、相輪や薬研彫が施された
塔身部分などは、後補のためか、大きさなど全体と不釣合いとなっています。
宝瓶三茎蓮の浮彫がある基礎及び笠部は当初からのもので南北朝期後半の作と
考えられます。」

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上の2枚の写真は大坂相撲で活躍した力士の墓碑(秀ノ海一門)

今回、拝観できなかったが、今後再訪問の時の覚えとして見所を列記しておきます。
木造板五輪卒塔婆(下の写真 雨乞い祈祷に奉じられたものだそうです)

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下記の資料から福原西国観音霊場の山号・寺名、宗派、御詠歌、住所をリストアップした。

出典:西摂大観 下巻 複製縮刷版 Page174 仲彦三郎編 中外書房 1965
   国際港都の生いたち(その7)奥中喜代一編 建設工学研究所 1975

 

1番 医王山薬仙寺 時宗
  住所:神戸市兵庫区今出在家町4丁目1-14
  御詠歌:「諸人の願ひのままになる薬恵む仏のちかひたのもし」

2番 金剛山宝満寺 臨済宗
  住所:神戸市長田区東尻池町2丁目11-1
  御詠歌:「この寺へあゆみをはこぶ諸人のわたり絶えせぬ真野の継橋」
  
  西摂大観では尻池の真野山法隆寺となっています。
   (阪神淡路大震災で全壊 現在は清涼山地蔵院になっている)
      

3番 龍雲山海泉寺 臨済宗
  住所:神戸市長田区駒ケ林町3丁目10-1
  御詠歌:「海原のなみに浮みて御仏の ちかひの網にもれぬうろくづ」
  
4番 紫雲山 藤之寺 浄土宗
  住所:神戸市兵庫区兵庫町1-3-6
  御詠歌:「紫の雲もたなびき藤の寺 花もみもあり 法のすずしさ」

5番 海運山満福寺 曹洞宗
  住所:神戸市長田区海運町4丁目1-1
  御詠歌:「昔そのかげをうつせし御仏のふかき恵のこもる池水」

6番 月見山浄徳寺 真言宗 

       住所:神戸市須磨区北町1丁目4-28  
  御詠歌:「影清くてり渡るなり須磨の裏 秋の月見る山寺の庭」

7番 上野山須磨寺 真言宗
  住所:神戸市須磨区須磨寺町4-6-8
  御詠歌:「ふえたけの ここによよふる須磨寺に ふくや上野の松風の音」

8番 桂尾山勝福寺 真言宗
  住所:神戸市須磨区大手町9-1-1
  御詠歌:「秋ふかく染みし紅葉にてりそえる 月の桂の山に名におふ」

9番 毘沙門山妙法寺 真言宗
  住所:神戸市須磨区妙法寺毘沙門山1287
  御詠歌:「みやま路をはるばるゆけば御仏の妙へなる法の声をきくかな」

10番 神撫山禅昌寺 臨済宗
  住所:神戸市須磨区禅昌寺町2丁目5-1
  御詠歌:「秋もややくれないふかき山寺の 庭の紅葉の錦おりかく」

  禅昌寺 : 散策とグルメの記録 (exblog.jp)

今回紹介

11番 観音山常福寺 真言宗
  住所:神戸市長田区大谷町3丁目11−1
  御詠歌:「はるばると詣れば弥陀の常福寺高きひくきも平等にして」

12番 白華山妙楽寺 臨済宗
  住所:神戸市長田区池田寺町23
  御詠歌:「おもしろき花のうてなに法の道 教へたへなるたのしみの寺」

13番 普門山福聚寺 臨済宗
  住所:神戸市長田区西山町1丁目2-6
  御詠歌:「かかるべき雲も嵐に吹きはれてあまねき門を照す月かげ」

14番 東海山長福寺 浄土宗
  住所:神戸市兵庫区熊野町5丁目1−1
  御詠歌:「きくたびにきむる夢野の草枕 かりそめならむ法の教へは」

15番 上野山願成寺 浄土宗
  住所:神戸市兵庫区松本通2-4-11 元は烏原村にあったが水没で現在地に移動
  御詠歌:「後の世も願ひのままになる梅の 花さく寺にあゆみはこばん」

16番 鷲峰山霊山寺 浄土宗
   住所:神戸市兵庫区石井町2-4-1
   御詠歌:「これもまた 法の教へと くむあかの 石井の水にうつる月かげ」

17番 潮音山東福寺 浄土宗
   住所:神戸市兵庫区五宮町18−1
   御詠歌:「山の名にかくる潮の音たかき 御法の声はたふとかりけり」

18番 天門山祥福寺 臨済宗
   住所:神戸市兵庫区五宮町22−17
   御詠歌:「見わたせばはれわたりけり天の門 法の教へをきくぞうれしき」


19番 花崗山福徳寺 浄土宗
   住所:神戸市中央区花隈町15-1
   御詠歌:「昔より御法たへせぬよつのときにはもせにきく花熊の寺」
   福徳寺関連の小生のBlog(花隈城跡と天守跡)

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上の写真は福徳寺の山門前の「花隈城天守閣之址」の石碑です


20番 薬王山宝地院 浄土宗
   住所:神戸市兵庫区荒田町3-17-1
   御詠歌:「御仏のおほみ恵みのあらたなる 寺へあゆみをはこぶ諸人」

21番 医王山廣厳寺 臨済宗
  住所:神戸市中央区楠町7丁目3−2
  御詠歌:「世の人の願ひをちぢのみてごとに すてぬちかひの仏たふとし」

22番 般若林 延喜山 福昌寺(八王寺) 曹洞宗
  住所:神戸市兵庫区羽坂通2-1
  御詠歌:「あなとふと法のえんぎをきくたびに 極楽浄土ひとすじの道」

23番 大光山福海寺 臨済宗
  住所:神戸市兵庫区西柳原町10−10
  御詠歌:「彼の岸へわたすちかひの船出には われものりえんさいはいのうみ」

24番 巨龍山福厳寺 臨済宗
  住所:神戸市兵庫区門口町3−4
  御詠歌:「巨きなる龍のうききにのりへつつ ちかひの海をわたるかしこき」

25番 梅松山満福寺 時宗
  住所:神戸市兵庫区東柳原町1−13
  御詠歌:「ひとすじにたのみて参れ満福寺 ただみほとけの深きちかひを」

26番 真如山法界寺 浄土宗
  住所:神戸市須磨区若木町2丁目3−30
  御詠歌:「あらたなる法の教へをたふとみて 絶へず仏の御名をとなへん」

27番 円光山極楽寺 浄土宗
  住所:神戸市兵庫区兵庫町2-1-37
  御詠歌:「たれもいざ乗りはおくれし彼の岸へ わたせる船の便りもとめて」   

28番 臥竜山恵林寺 臨済宗

       住所:神戸市兵庫区兵庫町2-2-1
  御詠歌:「龍のふす山のこずへはしげりあひぬ 御法は千代もたへじとずおもふ」

29番 経島山来迎寺 浄土宗
  住所:神戸市兵庫区島上町2-1-3
  御詠歌:「紫の雲にのりつつこの寺へ 来りむかはせたまふ御仏」


30番 川島山 永福寺(現存せず)

    住所:神戸市兵庫区南仲町にあった寺院だが戦争で焼失
    神戸事件の滝善三郎の供養碑は能福寺に移設された。
    御詠歌:「世の人のまよふ暗路をてらさんと 光りたへせぬ法の灯火」

   国際港都の生いたち(その7)では欣求山極楽寺 浄土宗を併記 
    住所:神戸市長田区苅藻通2-7-17   
    御詠歌:「くせの戸や末の葉ごしにおきみれば いつもたへせぬ海女の釣船」
      西摂大観では客番1番に列挙 それに伴ない 客番2に寿宝山 長福寺 臨済宗
      客番3に明泉寺 臨済宗となる

31番 浄国山金光寺 真言宗
    住所:神戸市兵庫区西仲町2-12
    御詠歌:「しげりあふ 庭の草木に おく露も 玉の光とみゆる たふとさ」

32番 宝積山能福寺(兵庫大仏) 天台宗
    住所:神戸市兵庫区北逆瀬川町1-39 
    御詠歌:「うえもなき七つの宝積む山に いるこそ人は楽しかりけれ」  

33番 西月山真光寺 時宗
    住所:神戸市兵庫区松原通1-1-62
    御詠歌:「みな人のつひにいらんもこなたへと 月落ちかかる西の山の端」

客番1 寿宝山 長福寺 臨済宗
    住所:神戸市長田区長田町4-2-1 
    御詠歌:「あらたふと導きたまへ法の道 ただひとすじに花のはちすへ」

客番2 天照山明泉寺 臨済宗
    住所:神戸市長田区明泉寺町2-4-3
    御詠歌:「萬代のここにあまてる御仏の ちかい妙へなる泉なるらん」

客番打納 海向山阿弥陀寺 浄土宗

    住所:神戸市兵庫区中之島2-3-1
    御詠歌:「観音のみちびきひらく花山の御法妙へなる 阿弥陀寺の庭」

奥之院 摩耶山 天上寺 真言宗
    住所:神戸市灘区摩耶山町2-12 

    御詠歌:「山の名を佛の母と聞くからは これぞまことの慈悲のみなかみ」


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