2017年8月26日、神戸市埋蔵文化財センター主催の表題の講座があり参加しました
講座の内容を中心に神戸における弥生時代の概要を纏めてみました。
講座の講師は神戸市教育委員会の前田佳久氏です。
1.弥生時代とは
Wikipediaでは次のように定義しています。
「弥生時代は、日本列島における時代区分の一つであり、紀元前10世紀頃から、
紀元後3世紀中頃までにあたる時代の名称。採集経済の縄文時代の後、水稲農耕を主とした
生産経済の時代である。」
弥生時代の特色は以下のとおりです。
-水稲耕作の開始
-金属器の使用 鉄器:主に武器、加工具 青銅器:主に祭祀に使用
-朝鮮半島系(大陸系)磨製石器(石斧、石包丁)の使用
-機織り技術の導入
-弥生土器の製作
弥生の名称についてWikipediaによれば
「「弥生」という名称は、1884年(明治17年)に東京府本郷区向ヶ岡弥生町(現在の東京都文京区弥生)
の貝塚で発見された土器が発見地に因み弥生式土器と呼ばれたことに由来」
発見者は有坂しょう蔵、坪井正五郎、白井光太郎
出土した土器は東京大学総合研究所博物館に保管されています。(弥生時代終末期の土器)
東京大学の農学部と工学部の境に「弥生式土器発掘ゆかりの地」の碑がある
2.弥生時代の年代
上の写真は山川出版社 「詳説 日本史図録」(2008)Page17からの引用
上の写真は講演で前田佳久氏が示されたものである。
中学校の教科書ではBC4世紀~AD3世紀後半であるが最近の教科書ではAMS年代測定法
により紀元前10世紀~紀元後3世紀後半の1200年であると注記している。
従前は前期、中期、後期の3区分であったが前期の前に早期が設定された。
土器では前期を第Ⅰ様式、中期を第Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ様式、後期をⅤ様式、終末期を庄内式と呼ぶ
3.神戸市の弥生遺跡
上の写真は六甲山系南麓の弥生遺跡 62の遺跡があります。
出典:神戸の弥生遺跡(神戸市教育委員会文化財課)Page4-5
上の写真は六甲山系北麓の弥生遺跡 13か所あり
出典:神戸の弥生遺跡(神戸市教育委員会文化財課)Page20-21
上の写真は明石川流域の弥生遺跡 63箇所あり
出典:神戸の弥生遺跡(神戸市教育委員会文化財課)Page28
4.弥生土器の基本形
上の写真は弥生土器の基本形を示したもの
出典:山川出版社 「詳説 日本史図録」(2008)Page17
甕(かめ):小・中型は煮炊き用、大型は水甕
壺(つぼ):貯蔵用
高坏(たかつき):盛り付け
盛り付け用として鉢(はち)もあります。
5.弥生土器の製作法
上の写真は弥生土器の成形の仕方を示したもの
製作の際、上部は崩れてしまう場合があるので下部が乾いてから成形する。
上の写真は内傾接合と外傾接合との違いを示したもの
http://sannaimaruyama.pref.aomori.jp/literature/nenpou/sanmaru-nenpou15.pdf
上記サイトのP34~P56/90に詳しく書かれています。
上の写真は弥生土器の焼成工程を示したもの
6.弥生土器の各部位の名称
上の写真は弥生土器の各部位の名称を示したものです。
左側は外面、右側は内面を表現しています。
実測図には⓵どのような調整が加えられているか
➁どのような文様が描かれているか
が表現されています。
上の写真は各種調整法を示したもの
7.弥生土器編年に関する文献
8.縄文時代晩期(弥生時代早期)の土器
上の写真は長原式土器
上の写真は長原式土器の解説と神戸市内における弥生時代早期(縄文時代晩期後半)の土器
9.弥生時代前期の土器
上の2枚の写真は弥生時代前期の土器の解説
上の写真は弥生時代前期の土器に見られる文様と調整痕
上の写真は神戸市西区吉田南遺跡の弥生時代前期の壺
上の写真各地の弥生時代前期の土器
10.弥生時代中期の土器
上の写真は弥生時代中期の土器の解説
上の3枚の写真は弥生時代中期の土器に見られる文様
11.弥生時代後期の土器
上の写真は弥生時代後期の土器の解説
12.弥生時代末期(庄内式)の土器
上の写真は弥生時代末期(庄内式)の土器の解説
甕の底部が丸底化、文様で飾ることが少なくなりタタキ技法による凹凸文様
13.その他(総括)
上の写真は弥生時代の様々な土器
上の写真は弥生土器の変遷(神戸市立博物館の展示解説)
出典:神戸市立博物館 総合案内(2003) Page19
関連ブログ:神戸市埋蔵文化財センター夏季企画展「こうべ発掘ニュース 最新号」 on 2016-7-23
大開遺跡、北青木遺跡、祇園遺跡、住吉宮町遺跡の弥生土器が展示
神戸市埋蔵文化財センター 平成28年度春季企画展 見学録 on 2016-4-17
弥生時代の墓について記載 須磨区戎遺跡、郡家遺跡、玉津田中遺跡の弥生土器
茨木市の郡遺跡・倍賀(へか)遺跡で大規模な方形周溝墓が発掘
神戸市埋蔵文化財センター2015年春の企画展「弥生時代のムラ・古墳時代のムラ」
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講座の講師は神戸市教育委員会の前田佳久氏です。
1.弥生時代とは
Wikipediaでは次のように定義しています。
「弥生時代は、日本列島における時代区分の一つであり、紀元前10世紀頃から、
紀元後3世紀中頃までにあたる時代の名称。採集経済の縄文時代の後、水稲農耕を主とした
生産経済の時代である。」
弥生時代の特色は以下のとおりです。
-水稲耕作の開始
-金属器の使用 鉄器:主に武器、加工具 青銅器:主に祭祀に使用
-朝鮮半島系(大陸系)磨製石器(石斧、石包丁)の使用
-機織り技術の導入
-弥生土器の製作
弥生の名称についてWikipediaによれば
「「弥生」という名称は、1884年(明治17年)に東京府本郷区向ヶ岡弥生町(現在の東京都文京区弥生)
の貝塚で発見された土器が発見地に因み弥生式土器と呼ばれたことに由来」
発見者は有坂しょう蔵、坪井正五郎、白井光太郎
出土した土器は東京大学総合研究所博物館に保管されています。(弥生時代終末期の土器)
東京大学の農学部と工学部の境に「弥生式土器発掘ゆかりの地」の碑がある
2.弥生時代の年代
上の写真は山川出版社 「詳説 日本史図録」(2008)Page17からの引用
上の写真は講演で前田佳久氏が示されたものである。
中学校の教科書ではBC4世紀~AD3世紀後半であるが最近の教科書ではAMS年代測定法
により紀元前10世紀~紀元後3世紀後半の1200年であると注記している。
従前は前期、中期、後期の3区分であったが前期の前に早期が設定された。
土器では前期を第Ⅰ様式、中期を第Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ様式、後期をⅤ様式、終末期を庄内式と呼ぶ
3.神戸市の弥生遺跡
上の写真は六甲山系南麓の弥生遺跡 62の遺跡があります。
出典:神戸の弥生遺跡(神戸市教育委員会文化財課)Page4-5
上の写真は六甲山系北麓の弥生遺跡 13か所あり
出典:神戸の弥生遺跡(神戸市教育委員会文化財課)Page20-21
上の写真は明石川流域の弥生遺跡 63箇所あり
出典:神戸の弥生遺跡(神戸市教育委員会文化財課)Page28
4.弥生土器の基本形
上の写真は弥生土器の基本形を示したもの
出典:山川出版社 「詳説 日本史図録」(2008)Page17
甕(かめ):小・中型は煮炊き用、大型は水甕
壺(つぼ):貯蔵用
高坏(たかつき):盛り付け
盛り付け用として鉢(はち)もあります。
5.弥生土器の製作法
上の写真は弥生土器の成形の仕方を示したもの
製作の際、上部は崩れてしまう場合があるので下部が乾いてから成形する。
上の写真は内傾接合と外傾接合との違いを示したもの
http://sannaimaruyama.pref.aomori.jp/literature/nenpou/sanmaru-nenpou15.pdf
上記サイトのP34~P56/90に詳しく書かれています。
上の写真は弥生土器の焼成工程を示したもの
6.弥生土器の各部位の名称
上の写真は弥生土器の各部位の名称を示したものです。
左側は外面、右側は内面を表現しています。
実測図には⓵どのような調整が加えられているか
➁どのような文様が描かれているか
が表現されています。
上の写真は各種調整法を示したもの
7.弥生土器編年に関する文献
8.縄文時代晩期(弥生時代早期)の土器
上の写真は長原式土器
上の写真は長原式土器の解説と神戸市内における弥生時代早期(縄文時代晩期後半)の土器
9.弥生時代前期の土器
上の2枚の写真は弥生時代前期の土器の解説
上の写真は弥生時代前期の土器に見られる文様と調整痕
上の写真は神戸市西区吉田南遺跡の弥生時代前期の壺
上の写真各地の弥生時代前期の土器
10.弥生時代中期の土器
上の写真は弥生時代中期の土器の解説
上の3枚の写真は弥生時代中期の土器に見られる文様
11.弥生時代後期の土器
上の写真は弥生時代後期の土器の解説
12.弥生時代末期(庄内式)の土器
上の写真は弥生時代末期(庄内式)の土器の解説
甕の底部が丸底化、文様で飾ることが少なくなりタタキ技法による凹凸文様
13.その他(総括)
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上の写真は弥生土器の変遷(神戸市立博物館の展示解説)
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