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史跡大安寺旧境内 講堂の調査(DA137・140次)

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2017年9月2日に橿原考古学研究所の土曜講座「大和を掘る35」の講演があり聴講した

その中から奈良市教育委員会の鐘方正樹氏の「史跡大安寺旧境内 講堂の調査」について
纏めてみました。

1.調査地の位置


上の写真は現在の地図に調査地点が書き込まれたものです。


上の写真は大安寺旧境内伽藍配置に調査地の位置を書き込んだものです。


上の写真はDA137次発掘区(平成27年度)とDA140次発掘区(平成28年度)の位置

2.DA137次&DA140次発掘区の写真


上の写真はDA137次発掘区(平成27年度)幅1.3m(除く水路)


上の写真はDA140次発掘区(平成28年度)幅3m

参考として昭和38年(1963)の調査の写真を添付(下の写真)

昭和38年の調査で基壇西辺及び南西隅の延石、南面階段の痕跡、講堂南西隅柱の礎石
据え付け穴に伴う根石が確認されています。

3.基本層序

(1)DA137次発掘区(平成27年度)


上の図4のとうりである。
発掘区の西側では運動場造成土の下に昭和38年の調査区を埋める黄褐灰色瓦礫土(3層)
灰褐色礫混土(5層)はコンクリートが混在するので昭和30・34年の旧校舎解体時の
造成土である可能性があります。この下に奈良~鎌倉時代の瓦を含む黄茶灰色土(9層)が
堆積し、茶褐色土(12層)の講堂基壇盛り土に至ります。


(2)DA140次発掘区(平成28年度)


上の図5のとうりである。



4.大安寺古文書に残る講堂の基本情報


上の写真は「大安寺伽藍縁起井流記資財帳」に書かれたデータ


上の写真は大安寺の旧伽藍 (大安寺宝物館の展示パネルより)


5.講堂の復原


上の写真は講堂の復原図です。

講堂の規模は長さ43.2m 幅27.2m
基壇の規模は長さ49.9m 幅34.2m
平城京の大極殿とほぼ同じ規模になります。

北面及び東西面の3面に軒廊があります。
今回の発掘調査では北軒廊 の痕跡(SD03)が検出された。


上の写真は北軒廊の検出遺構

6.隅木蓋瓦

今回の発掘調査で特筆すべき遺物として隅木蓋瓦があります。復原幅は57cm程度で平城宮
大極殿の40~43cmと比べて大きく講堂の規模が大きかったことを物語っています。







関連ブログ:南都七大寺 大安寺訪問記 on 2017-6-6 その2 旧伽藍跡

      南都七大寺 大安寺訪問記 on 2017-6-6 その1 現境内      


関連報道:大安寺講堂の巨大さ物語る瓦 奈良市教委発掘調査で破片出土
      産経新聞 2017-2-10

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