2020年12月8日(火)、4:40~4:50にNHK総合テレビ視点・論点を視聴しました。
テーマは「新型コロナ第3波 求められる対策」解説は東邦大学教授の舘田一博氏。
易しく示唆に富む解説であったので憶えとして記載しておきます。
詳細は下記のサイトで纏められています。
「新型コロナ第3波 求められる対策」(視点・論点) | 視点・論点 | 解説アーカイブス | NHK 解説委員室
使用した写真で特記していないもの以外はすべて上記番組からのものです。
1.これまでに分かってきたこと
1)感染経路
今まで風邪などで知られている飛沫感染、接触感染の他に会話などで生じる
マイクロ飛沫による感染伝播が新型コロナでは特筆される感染経路である。
マイクロ飛沫対策としてマスクを着用しての会話が感染防止に有効
今では、米国のCDCやWHOもマスクの重要性を認め、これを推奨しています。
2)血管に感染することによる全身への影響
マイクロ飛沫を吸い込むことにより肺に定着し、肺炎を引き起こしてきます。
このウイルスは血液の中に入り込み、全身の血管にも感染を起こすことが判ってきました
血管の細胞にこのウイルスが付着する受容体があり、血管の細胞が障害され、血栓が形成。
血栓症は肺の他に心臓や腎臓、肝臓や脳まで、体中のたくさんの臓器で発生します。
2.現在の状況とこれから
ここで番組の内容から離れて12月10日に過去最悪の記録を更新した全国の感染者数
(2,971人があらたに感染)についてデータを添付しておきます。(下の2枚の写真)
出典:12月11日 6ch モーニングショー
勝負の3週間と政府は訴えているが低下局面に移行していない現状である。
昨日(2020-12-11)に開催された政府の分科会で尾身会長はレベル3の地域を
さらに3つに分けて次のような対策をとるよう提言されています。(下の2枚の写真)
出典:10ch 12月12日放送 NEWS24
Go Toトラベルの一時停止や飲み屋さんの営業を20時までと提言
これを受けて菅総理はこれでもGo Toトラベルにはこだわりを持ち続け継続の
意向を発言されています。これでは米国やヨーロッパのようにさらに深刻な
爆発的感染者増加、医療崩壊が起きかねない現状である。
1)第三波を乗り越えるために
7月の末から始まった第二波のときは、夜の繁華街でクラスターが多数報告され
大きな問題となりました。現在では、これら地域の多くの皆さまのご協力により
このクラスタ―は沈静化しています。しかし、ウイルスは少しずつ市中に広がりだし、
また地域も拡散して全国に感染が広がっています。札幌や大阪、名古屋、東京などの
大都市圏で新しい広がりを示しています。
上記のように館田先生は述べられていますが11月のクラスターは817件で10月の2.8倍
とクラスター数は増加しています。また感染経路不明が約50%と危機感を感じます。
クラスターの種類が多様化しています。上の表のように、飲食店の他に、職場における
休憩時間、集団生活を行う寮、家族内感染なども多数報告される状況になっています。
そうした状況の中で、感染リスクを高める5つの場面を厚生労働省が発表しています。
①飲酒を伴う懇親会など、②大人数や長時間におよぶ飲食、③マスクなしでの会話、
④狭い空間での共同生活、⑤居場所の切り替わりなどが重要であるといわれています。
この広がりを抑えるためには、人と人との濃厚接触を減らすこと、人の動きを抑制
すること、多人数の長時間にわたる会食などを出来るだけ減らすことが重要。
気温が低い冬はコロナウイルスが死滅しにくくなる、すなわち生き残りやすくなる季節です。
この12月から2月頃までは感染の蔓延に十分に注意して行動する必要があります。
2)治療法やワクチンについて
新型コロナウイルス感染症の治療薬として、エボラ出血熱の治療薬であるレムデシビルが
承認されています。またインフルエンザの治療薬であるアビガンという薬の臨床研究が
進行中です。
体の中の炎症が過剰に進行する病態に対して炎症を抑制するステロイドという薬が有効。
血栓の形成を抑制する薬剤の有効性も報告されています。
特効薬と呼べるような薬剤の開発はみられていませんが、いくつかの薬を併用することで
第一波のときに比べて、第二波・第三波では重症化をある程度抑制できる可能性が高まって
います。ワクチンの開発に関しても新しい成績が多数報告されてきています。
ワクチンの開発はこの感染症の制御に極めて重要でありますが、今の段階では過剰に
期待することなく、冷静に臨床試験の結果を見守っていくことが重要であると思います。
接種の優先順位を含め、慎重かつ冷静な対応が必要です。
治療法とワクチン開発については今年の4月にブログを作成しています。(下記リンク)
新型コロナウイルスの治療薬候補の「アビガン」など主な薬とワクチンの現状について - CHIKU-CHANの神戸・岩国情報(散策とグルメ) (goo.ne.jp)
上の写真は現在承認された治療薬と承認申請中(アビガン:10月16日に承認申請)
の薬剤3種類とアビガンの有効性データおよび申請の現状
出典:6ch 12月10日 モーニングショー
3.感染症に強い社会を創り上げるために
1)差別や偏見のない社会へ
感染した人やその家族、患者さんを診療している医療従事者に対する差別や偏見の
事例が多数報道されています。これをどのように抑えていくのか、政府の分科会でも
専門の委員会を立ち上げて対応を急いでいるところですが、医療従事者やマスコミなど
メディアの方々、そして何よりも市民の1人1人がこの問題に関して真剣に考えて
いくことが必要だと思います。この感染症に関連して差別や偏見が生じないように、
私たち一人一人の意識を変えていくことが重要になります。
2)ピンチをチャンスへ
感染症に対する新しい診断法、治療法やワクチンの開発が加速しています。
この新型コロナウイルス感染症を乗り越えたとき、今までより一層、感染症に対して
強い社会になっていなければなりません。ピンチをチャンスに変えるきっかけに
できるように、私たち一人一人の行動変容と協力が、今求められているものと思います。