終戦から76年を迎えた2021年8月15日、およそ310万人の戦没者を慰霊する政府主催の
全国戦没者追悼式が日本武道館で行われました。
コロナ禍の中、昨年に続き遺族の参列を絞り、参列者は過去最少の193人だった。
1963年から続く追悼式で、今回初めて戦没者の配偶者の参列がなかった。
追悼式の様子(Youtube動画)をGooで共有させていただきます。
【LIVE】全国戦没者追悼式(2021年8月15日)
上の写真は2021年全国戦没者追悼式の遠景 in 日本武道館
出典:2021-8-15 11:50 よりNHK BS1の中継番組 以下の写真も同じ
追悼式は11時50分頃より始まり、感染防止対策が徹底され、例年行われる国歌斉唱は
演奏のみとなった。まず菅義偉首相が式辞を述べられました。
菅義偉首相の式辞の全文
天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、戦没者のご遺族、各界代表のご列席を得て、全国戦没者追悼式を、ここに挙行いたします。
先の大戦では、300万余の同胞の命が失われました。
祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、戦場にたおれた方々。戦後、遠い異郷の地で亡くなられた方々。広島や長崎での原爆投下、各都市での爆撃、沖縄における地上戦など、戦乱の渦に巻き込まれ犠牲となられた方々。今、すべてのみ霊の御前にあって、み霊安かれと、心より、お祈り申し上げます。
今日、私たちが享受している平和と繁栄は、戦没者の皆さまの尊い命と、苦難の歴史の上に築かれたものであることを、私たちは片時たりとも忘れません。改めて、衷心より、敬意と感謝の念をささげます。
いまだ帰還を果たされていない多くのご遺骨のことも、決して忘れません。一日も早くふるさとにお迎えできるよう、国の責務として全力を尽くしてまいります。
わが国は、戦後一貫して、平和を重んじる国として歩んでまいりました。世界の誰もが、平和で、心豊かに暮らせる世の中を実現するため、力の限りを尽くしてまいりました。
戦争の惨禍を、二度と繰り返さない、この信念をこれからも貫いてまいります。わが国は、積極的平和主義の旗の下、国際社会と力を合わせながら、世界が直面するさまざまな課題の解決に、全力で取り組んでまいります。今なお、感染拡大が続く新型コロナウイルス感染症を克服し、一日も早く安心とにぎわいのある日常を取り戻し、そして、この国の未来を切り開いてまいります。
終わりに、いま一度、戦没者のみ霊に平安を、ご遺族の皆さまにはご多幸を、心よりお祈りし、式辞といたします。
上の2枚の写真は菅義偉首相の式辞の場面
1993年の細川護熙氏以降、歴代の首相は式辞で、「深い反省」や「哀悼の意」などの
言葉で近隣諸国への加害責任を述べてきたが、第2次安倍政権以降は言及されておらず、
菅首相も触れなかった。
12時より黙とうが捧げられました。
続いて天皇陛下からお言葉がありました。
天皇陛下のお言葉(全文)
本日、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、さきの大戦において、かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。
終戦以来76年、人々のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが、多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき、誠に感慨深いものがあります。
私たちは今、新型コロナウイルス感染症の厳しい感染状況による新たな試練に直面していますが、私たち皆がなお一層心を一つにし、力を合わせてこの困難を乗り越え、今後とも、人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願います。
ここに、戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
上の写真は天皇陛下のお言葉の場面
次いで衆議院議長、参議院議長、最高裁判者から追悼の辞がありました。
さらに、戦没者遺族代表で追悼の辞を述べたのは、兵庫県の柿原啓志さん(85)。
父親の輝治さんが中国で戦病死した。
「今日の平和と繁栄は尊い犠牲の上に築かれ、その犠牲として亡くなられた人々は、
今の日本に暮らす人々と同じようにごく普通の生活をすごしていた方たちであったこと、
確かな人生が、そのお一人おひとりにあったことにどうか気がついていただきたい」